「ナオ、そんな顔をしないで。デボラからケンカを売ってきているんですもの。それ相応の対処は必要でしょう?楽しみだわ。そうだわ、ナオ。それまでにうちに泊まりに来ない?」
「泊まりに?でも、ご迷惑だわ」
「遠慮はいらないさ。おれたちの友人なら、両親もおおよろこびするよ」
「なにせわたしたち兄妹はちょっと個性的だから、貴族子女に見向きもされないの。あなたが来てくれれば、わたしたちも両親に自慢出来るわ」
「決まりだ。おれから、執事長と侍女長に話をつけておくよ」

 わたしが口をさしはさむ間もなく、お泊まり会が決定していた。

 だけど、ちょっと楽しみ。

 生まれて初めて出来た友人の屋敷に遊びに行けるんですもの。

 この国に来てよかったと、もう何度目かに実感した。

 姉の身代わりで竜帝の捧げものになってよかった、と。