「その時点で胡散臭いって思ったんだ。でっ先程、公爵令嬢に、って、ナオって呼んでもいいかい?おれのことは、バルって呼んでくれ」
「もちろんですとも、バル」
「ナオに挨拶に行ったら、執事長と侍女長からガンドルフィ公爵家に行った、ときかされた。陛下から、ナオは馬が好きで、愛馬を連れてきているときいていたからな。愛馬がいるってことは、ナオは筋金入りの馬好きってことだ。それで、おまえがお茶会に行った理由に思いいたったというわけだ」

 バルナバは、腰に手をあて「フフン」と鼻を鳴らした。

「イヤなお兄様ね。馬好きどうし、いいお友達になれると思ったのよ。いいえ。運命を感じたわ。こんなこと、これまでになかったもの。ほら、よく異性にそういうものを感じるっていうでしょう?でも、わたしは違うみたい」
「当然だ。どこぞの生意気な腑抜け野郎にそんなものを感じる必要なんてない」
「ナオ、いまのお兄様の発言をきいた?お兄様ったら、いつもこうなの。わたしがどこかの生意気な腑抜け野郎と飲みに行ったりしようものなら、酒場に乗りこんで来るの。でもね、生意気な腑抜け野郎と二人っきりなんてことはないのよね。複数人で飲むことが多いから。結局、お兄様も加わって、おごってもらうことになるんだけどね」