「一応わたしも招待されているんだけど、彼女の意図は明白よ。パートナーと同伴で来なさいってこと」
「なるほど」

 だからこそ、彼女はわたしを誘ったのね。

 パートナーがいないことがわかっている。

 みすぼらしい身なりのわたしが、ガンドルフィ公爵家の広間の片隅で一人寂しく立っているのを見たいのね。

 そんな幼稚なかんがえ方も、どこのご令嬢もおなじよね。

「『見てごらんなさい。彼女たち、エスコートをしてくれる殿方もいらっしゃらずに寂しいことね。だれか、お相手をして差し上げたら?』。なーんて言うに決まっているわ」

 エルマがデボラの声真似をした。それがあまりにも似ているから、思わずふきだしてしまった。

「似ているでしょう?彼女を見て、日々研究しているの。いつか、本人の前で披露するつもり」
 
 おどけたように言う彼女が楽しすぎる。

 馬車は、そんな話をしている間に皇宮に到着した。

 そのまま厩舎に向かってもらった。