それから、あらためて握手した。

 思いっきり二人で笑いながら。

「ナオ。小説まんまの悪役令嬢様とその取り巻きたちの相手をするのに忙しかったから、まだスイーツに手をつけていないでしょう?ガンドルフィ公爵家の料理人やパティシエの腕はすごいのよ。もともと皇宮で務めていた人もいるから。遠慮はいらないわ。さあっ、食べて食べて」
「ええ」

 彼女に勧められるままに食べてみた。

「とっても美味しい。でも、いいのかしら。(あるじ)はいないのに」
「いいのよ。ねえ、ダリラ?」

 彼女は、少し離れたところに控えている侍女に声をかけた。