「とっとと出て行け」

 フランコの苦笑交じりの怒鳴り声に、カストは追われるようにして出て行った。

「まったくもう。ああ、カストは小柄でのほほんとしているように見えるが、この帝国一の剣士なんだ。しかも、個の武だけでなく用兵にも長けていてね。いまの地位は、けっして皇族だから手に入ったわけではない。自分の力で手に入れたものだ」

 フランコは、カストが出て行ったばかりの扉を見つつ説明してくれた。

 その彼の顔は、じつに誇らしげである。

 兄弟二人の仲の良い関係が、ちょっとだけうらやましかった。

 
 この日、わたしはバリオーニ帝国の皇帝の読書友達になった。