「本が好きなのか?」
「はい、大好きです」

 尋ねられて反射的に答えてから、ハッとした。

 振り向くと、腰を抜かしそうなほど美しい青年がすぐ近くに立っている。

 金髪碧眼。顔の造形は、神の最高傑作といっていいほど整っている。

 わたしを捨てた、というよりかは竜帝への捧げ物にしたアデルモも美しかったけれど、いま目の前にいる青年はそんな美しさなど凌駕している。

 室内の淡い灯火の中、彼の存在は神々しすぎる。

 ボタンを一つ開けた白いシャツに黒いスラックス姿も、彼には似合いすぎている。

「それはよかった」

 彼は、やわらかい笑みを浮かべた。