いつの間にか、「役立たず聖女」と呼ばれていた。

 それでも、聖女であらねばならなかった。

 アデルモ・ベルターニが国王になり、正妃を決めるまでは。

 そして、これである。

 わたしは、捨てられた挙句に捧げものになるらしい。

「竜帝がやって来る。ドラーギ国をたったの三日で攻め落としたその帰りにだ。つまり、言うことをきかないと、このままこのアロイージ王国を攻め滅ぼしてやる、と言いたいのだ」

 わたしの心の中とは裏腹に、アデルモは腹立たし気に続ける。

「これもひとえに、わが軍がこの周辺の国々の中で最弱だからだ」

 その嫌味は、玉座前に居並ぶアロイージ王国軍の将軍たちに向けられたもの。