「あの、どこに行くのですか?わたしだったら、こんな立派なところではなく街の旅館とか宿舎とかでいいんですけど」

 先程の大廊下とは違い、ここの廊下は明るい。それに、過度な装飾品もないから落ち着く。

「あ、お気に召しませんか?」

 前を歩くカストは、弾かれたようにこちらに体ごと向いた。

 すごく慌てている。

「いえ、そういうわけでは……。ただ、わたしは不要な人間。無理矢理ついてきてしまったんです。それをこんなところですごさせてもらうなんて、申し訳なさすぎます」
「不要な人間?陛下があのように言ったのは……」

 カストは、言い淀んだ。かすかに首を左右に振ってから言葉を続ける。