「バトーニ公爵令嬢。こちらは、この皇宮の執事長を務めているジェラルド・カルローネ。こちらは、侍女長のアーダ・フェルラッチ伯爵夫人です」

 カストが紹介してくれた。

 タキシード服にスラッとした体を包み、銀髪に銀縁メガネの渋カッコいいジェラルドが一礼をした。

「ジェラルド・カルローネと申します。公爵令嬢、ようこそお越しくださいました」
「侍女長のアーダ・フェルラッチと申します。公爵令嬢、お待ちしておりました」

 それから、赤毛でコロッコロの体型のアーダがやわらかい笑みとともに一礼した。

「ナオ・バトーニと申します。よろしくお願い致します」
「お荷物は、お部屋に運んでおります。よろしければ、明日、侍女に整理をさせますので」
「いえ、大丈夫です。大した量でも物でもありませんので。自分で出来ます」

 ジェラルドの申し出にブンブンと首を振りつつ答えた。

「では後程、専属の侍女をうかがわせますので」

 アーダが言ってくれたけど、恐縮しまくってしまう。

 怖すぎる。これっていったい、どういう状況なの?

 カストにうながされ、とりあえず二人にお礼を言ってからまた彼の後を追った。