「お姉様、わたしは戻りません。「役立たず聖女」だと言われ続け、あなたたち家族にもアデルモにも捨てられ、捧げものにされたのです。ですが、そんなわたしを拾ってくださったのが竜帝です。そのお蔭で、わたしには愛することの出来る人たちが出来ました。わたしには、わたしを愛してくれる人たちがいます。いま、わたしはとてもしあわせです。そして、これからもしあわせであり続けます。聖女の力などかけらもないあなたに、アロイージ王国を守ることなど出来ない。それどころか、あなた自身を守ることすら出来ない。国に戻って、フランコ様に首を刎ねられるのを待っているといいわ」

 これまでの想いの丈を、お姉様に叩きつけてやった。

 お姉様はわたしを非難しつつ、外交官たちは慈悲を乞いつつ、親衛隊に連れて行かれてしまった。

 これでよかったのよ。

 アロイージ王国を救う為には、宿痾を取り除かなけれなばならない。

 ちょうどいい機会だったのよ。

 そう何度も自分に言いきかせる。

 フランコは、お姉様や外交官たちの叫び声がきこえなくなってもずっとわたしの肩を抱き続けてくれた。