「ほら、はやく。そこのカッコいい侍従にでも準備をさせなさい」
「お姉様……」

 非常識すぎるお姉様に、正直なところなんと言っていいかわからない。

 口を開きかけたところに、「カッコいい侍従」がゆっくり近づいてきた。

「久しぶりの姉妹の再会だから遠慮していたが……。話にならんな」

 フランコはわたしの横に立つと、手を取ってその甲に口づけしてくれた。

「はじめまして、ではないな。これで二度目だ。たしか、『見るに堪えない顔なんでしょう?』と言われたな」

 彼は、そう言って乾いた笑声を上げた。

 そうだったわ。お姉様は、フランコに対して言った気がする。

 彼の仮面の下の素顔は、「見るに堪えない顔」であると。