「ナオ、すぐに戻るのよ。国王であるアデルモの命令よ」

 庭園の東屋で彼女と会った瞬間、彼女は高飛車に言い放った。

「まったくもう。最近の天災は、わたし一人の手に負えないわ。「役立たず聖女」のあなたでも、いれば何かの役に立つ。さあ、さっさと帰るのよ」

 彼女はわたしが黙っていることをいいことに、さらに高飛車に出た。

 というよりかは、彼女はまだ自分に聖女の力がないことに気がついていないわけ?

 驚きだわ。

「あら?そこの侍従、カッコいいわね」

 彼女は、美しい男性に目がない。

 いまも、東屋からすこし離れて立っている人たちの中の一人を目ざとく見つけた。