立ち上がるとガラス扉に近づき、それを開けた。バルコニーへ出、石製の手すりに両肘をついて広々とした森を眺めた。

 ゆっくりと明るくなっていく中、ようやく小鳥たちが起きだしてきた。

 どのくらいボーッとしていたのかしら。フィオレがまた扉をノックした。

「皇帝陛下がいらっしゃっています」

 なんてこと……。

 当然、断れるわけがない。

 途端に心臓がドキドキバクバクしはじめた。

 フランコはすぐに入って来て、せかせかとバルコニーまでやって来た。

 エルマから何も話をきいていなかったら、こんなに緊張することはなかったはずなのに……。

 とにかく、口から飛び出してしまいそうなほど、心臓が飛び跳ねている。