はっきり言って、わたしが聖女の力を持っていようとなかろうと、この場にいる人たちには関心がない。
 だから、わたしやアロイージ王国のことなどどうでもいい。

「ねぇ、公爵令嬢。どこから仕入れた情報か知らないけれど、それは誤報もいいところよ。だって、かんがえてもみなさいよ。彼女がいなくなって、アロイージ王国が最悪の状況になっているんでしょう?それは、ナオの聖女の力、つまり彼女の加護がなくなったからよ。ということは、彼女は偽聖女じゃないし、ましてや役立たずでもないわ。そんな簡単なこと、三歳の子どもでもわかることじゃないかしら」

 エルマが言い返してくれた。

 彼女の言うとおりである。

 わたしに聖女の力があり、ちゃんと加護をしていた。わたしがこの国に来たことによって、アロイージ王国は加護されなくなった。だからこそ、アロイージ王国は最悪な状況になっている。

 よって、わたしは偽聖女でも役立たずでもない。

「そんなわけはないわ。お父様が得た情報なんですもの」

 デボラは、金切り声をあげた。

 いまので、彼女の父親である宰相が仕入れた情報だということが知れたわね。