侯爵夫人と顔を見合わせ、同時に苦笑してしまった。

「この調子なら、ナオに着てもらうどころかあなた自身着用するものがないじゃない。二人ともいらっしゃい。わたしのを見てみましょう」
「はーい。困ったときのお母様頼みよね。ナオ、安心して。お母様のドレスだったら確実よ」

 エルマに腕を取られ、彼女の部屋を出た。

 侯爵夫人は、「ひと昔前のドレスよ。だから、デザインも色合いもいまどきの流行ではないけれど」と言って、クローゼット内を見せてくれた。

 そんなことはなかった。

 すぐに気にいるものが見つかった。だけど、袖や腰回りがじゃっかん長かったり大きかったりする。
 そうしたら、手直しもしてくれると言ってくれた。

 だけど、時間がない。応急処置的にしてもらうことになった?

 だから、厚かましくお願いをした。

 そのあとは、ボルディーガ侯爵家で賑やかなひとときをすごした。