「とにかく、宰相の意図は明確だ。ナオに恥をかかそうというわけだ。おれも出来れば見たことのない侯爵令嬢より、ナオをエスコートしたいんだが……」
「バル、ありがとうございます。ですが、わたしなら大丈夫です。この国に来て何年も経っているわけではありません。公の場にいっしょに出席出来るパートナーがいなくても仕方がありません。そう割り切ります。ですが、フランコ様の客人として彼に恥をかかせてしまうことが心苦しいのです」
「ナオ、わたしたちといっしょにいて。あなたは、子どもたちの大切な友人で、なおかつ陛下のお客様だわ。ボルディーガ侯爵家がお世話をするということにすれば、不自然でもなんでもない。実際、他国の貴賓をお連れする場合があるの」
「さすがはハニー。そうしよう」

 侯爵夫人の申し出は、わたしにとってありがたすぎる。

 侯爵も乗り気になってくれている。

 だけど、ボルディーガ侯爵家に迷惑がかかってしまうかもしれない。だから、心配だということを素直に伝えた。