オフクロサマ

「わかってない、なにも!」


真一はそれだけ叫ぶと駆け出した。


咄嗟に追いかけようとした智香の手首を唯が掴んで引き止めた。


「ごめん智香、今は真一をそっとしておいてあげて」


そういう唯の声はひどく震えていたのだった。