「あの人は優しかったけど、やっぱりこの村人で間違いないよ」
最初は助けてくれたけれど、祭りが終わった後の冷たい態度は忘れていない。
村人が道端で死んだというのに、大田ですら救急車を呼ばなかった。
「やっぱり、無理なのかな……」
智香の中では唯一の救いが大田の存在だった。
自分たちを優しく受け入れてくれたあの人ならどうにかしてくれる。
そんな期待がたしかに存在してた。
だけどそれを否定された今、なにを信じて待てばいいのかわからない。
まさに絶望が押し寄せてきたそのときだった。
微かに物音がしてふたりは目を見交わせた。
さっきから聞こえてくるのは水の音ばかりだったが、それに混ざってザッザッという音が聞こえてくる。
まるで人の足音のようだ。
そしてそれはこちらに近づいてきているようなのだ。
「もしかして大田さん?」
つい声が大きくなってしまう智香に、裕貴がシッ! と人差し指を立てた。
足音の主が自分たちの味方だとは限らない。
最初は助けてくれたけれど、祭りが終わった後の冷たい態度は忘れていない。
村人が道端で死んだというのに、大田ですら救急車を呼ばなかった。
「やっぱり、無理なのかな……」
智香の中では唯一の救いが大田の存在だった。
自分たちを優しく受け入れてくれたあの人ならどうにかしてくれる。
そんな期待がたしかに存在してた。
だけどそれを否定された今、なにを信じて待てばいいのかわからない。
まさに絶望が押し寄せてきたそのときだった。
微かに物音がしてふたりは目を見交わせた。
さっきから聞こえてくるのは水の音ばかりだったが、それに混ざってザッザッという音が聞こえてくる。
まるで人の足音のようだ。
そしてそれはこちらに近づいてきているようなのだ。
「もしかして大田さん?」
つい声が大きくなってしまう智香に、裕貴がシッ! と人差し指を立てた。
足音の主が自分たちの味方だとは限らない。



