「ねえ由乃(ゆの)~」

「ん~?何?粉桃(こもも)。」

「好きな人いる?」



突然粉桃にそう言われて私はびっくりする。



「いるわけないでしょ。」

「そっか。由乃は"あのこと"で、男子苦手だもんね。」

「苦手ってレベルじゃないわよ。大嫌いなの!!」



粉桃が言う、"あのこと"とは、私の元カレ、優木幸都(ゆうきゆきと)が二股していたことだ。

幸都は銀狼(ぎんろう)という暴走族の総長で、私はその銀狼の姫だった。

私は幸都が好きだったし、幸都を信じていた。

それなのに幸都は、同じクラスの樋目野綾(ひめのあや)と二股してたんだ。

私がその現場を目撃してしまった。