(リュミエール様はお心も美しくこんなにお可愛らしいのに、なぜ皆色眼鏡をかけたまま受け入れてくれないのかしら? それに王太子様はあまりいい噂は聞かないし……お送りするのが少し不安だけれど、仕方ないわね……。せめて婚約者として胸を張れるようにいつもより念入りに支度を整えるとしましょう!)
 
 この少し年下の頑張り屋の少女をとても好ましく思っている彼女は、せめて誰の前に出ても恥ずかしくないように、気合を入れ腕によりをかけて化粧やドレスの準備を始めていく。

 一度パーティ会場に入ってしまえば、彼女の身を守ってくれる人は誰もいない……。
 お付きの侍女としては、婚約者の王太子が予想よりましな人格で、きっちりエスコートしてくれることをひたすら願うしかないのだった……。