「おいでくださったのですね……ご機嫌はいかがですか?」
「は、はい……、とてもいいです」

 周囲の視線にぎこちなくはにかむリュミエール。
 だが本心はとても嬉しくて……何を聞こうか迷った末に口を開こうとした時。

「――おっ……このお方が、大将の婚約者で噂の白い髪の聖女様か?」

 珍しい容姿に興味を持ったのか、シスターと話す種が欲しかったのか……談笑していた兵士達が彼女達の近くに集まりだす。

「ほうほう……お人形みたいな娘さんだなぁ」
「ちょ、ちょっと……皆さんそんなに近づかないで下さいませ! 御嬢様が怖がられます!」

 大柄な男達からリュミエールを背中に庇い、(にら)みを利かすケイティ。
 しかしロディアはニコニコと笑顔を浮かべて彼女を落ち着かせる。

「まぁまぁ……怖がられなくとも大丈夫ですわ。皆さん、リュミエール様に興味がお有りなだけですのよ? この地方では、銀の竜と同様に聖女も尊い存在として崇められていますから」

 周りの彼らも気を使ったのだろう、兵士達の中から出て来た一際大柄な男が表情を崩して謝罪した。