初めてダンスの腕前を披露し、公爵たちにがっかりされた翌朝のこと。
 城内の礼拝堂に訪れたリュミエールとケイティは、その混雑具合に驚いていた。

「わぁ……中は一杯だわ」
「すごいですねぇ……。このお城には信心深い方々の多いこと……」

 少しずつ行動範囲を広げ、知人を増やして行こうと思ったのだが……。

 扉を開けると、若いシスターの暖かい人柄と声にひかれたのか……兵士や使用人など様々な身分の者が参列しており、いきなり知らない大勢に囲まれてリュミエールは身を小さくする。

 壇上でありがたいお話を聞かせてくれているロディアに目礼し、二人は礼拝堂の隅の方に陣取ると、その言葉は自然と耳に届いてきた。

 大柄なシスターの穏やかな声は良く通り、純粋な笑顔が人を惹きつける。
 話も分かりやすく、大勢の人が真摯に聞き入る理由が分かるほどだった。

(私もこんな風になれたらいいな……)

 薄暗い礼拝堂で、ステンドグラスからの光に照らされるロディアを見ながら、リュミエールは淡い憧れを抱く。

 やがて朝の礼拝はつつがなく終了し、シスターはリュミエール達を気づかったのか、すぐに彼女の元へ歩いて来てくれた。