こんなことを言うのは野暮だけどさ……内向的で結婚相手として都合がいいとか言っていたけど、本心はきっと違うと思うんだよね。……イイ奴だからさ、彼は。

 ま、そんなこんなでリュミエール嬢を結婚を前提として、この城でしばらく様子を見ることになったのだけど……。

「可愛い子でよかったじゃない。子犬のような純真さで、つい守って上げたくなってしまうよね」
「そんなことはどうでもいい……。問題は公爵夫人としての適性があるかどうかだ。……あまり、丈夫そうには見えんしな」

 レクシオールの顔に苦みが走る。
 まだ母親のことを引きずっているのかと思いつつも、口には出さないでおく。

「君はそればっかりだな……よく堅苦しくて息がつまらないねぇ。まぁ、僕から見ても、あんまり向いていないように思うけどね」
「ならば、教育せねばならん」
「誰がさ……まさか僕にふろうとしてるわけじゃないよね? 僕は男だよ?」
「……む」

 レクシオールが眉尻を少し下げたのを見て、僕は苦笑した。
 ……この朴念仁は 信用している人間以外には見向きもしない所があるから、自然と一部の人間だけ人使いが荒くなる。ま、学友のよしみで、僕なんかは好きで手伝っているんだけど。