「おや……興味がおありですか? って、それはそうでしょうね、聖女様なんですから」

 ――礼拝堂。
 他に比べ、こじんまりとした白塗りの建物は、リュミエールに好奇心をうずかせた。

 フィースバークの屋敷にも聖女たちの精神統一の場として開放されているものがあったが、他の二人の姉はサボリがちで使っていたのはリュミエール位のものだった。でも、その事が逆にリュミエールを安心させていた……あそこで過ごしている間は、静かな気持ちでいられたから。

「あの、フレデリク様。御嬢様もご興味がおありのようですし、少しだけでも内部を見せていただくわけにはいきませんか?」
「ええ、もちろんよろしいですよ。少しお待ちくださいね……」

 尋ねてくれたのはケイティだ。それを聞いてフレデリクはすぐに建物の管理者に確認を取りにいった。

「ご、ごめんね……どうしても気になって」
「ふふふ、毎日熱心でいらっしゃいますものね。私も御嬢様がお祈りをされているのを見るのは好きですから」

 ケイティの気遣いに感謝しながら建物からフレデリクが出てくるのを待っていると、しばらくして彼は中から二人を手招きした。