「その辺りは実際に御自分の目で確認されるのが一番よろしいかと。なに、取って食われるようなことはありませんからご心配なく」
「ええ、楽しみにさせていただきます……」

 リュミエールはこの時、かの公爵があの窓際にいた怜悧(れいり)な美貌の男性だとは知らずに……色々と頭の中妄想を浮かべては掻き消すことを繰り返す。

 しかし心の中の傷が癒えない今……期待を裏切られてまた苦しむのは辛い。
 (きっとまた、気に入ってもらえないわ……)と自分に言い聞かせ、彼女は小さな溜息と共に窓の外へ視線を逃がした。