「ええ。お会いできて光栄です。私はリュミエール・フィースバーク、こちらはケイティ・ラーセルといいます。これからよろしくお願いいたしますわ、ハイネガー伯爵」
「ハイネガー伯爵様、私のような下々の者にお声がけいただきありがとうございます……御嬢様は領外へはほとんど出ることがありませんでしたので、なにか粗相がありましたら、寛大なお心で接していただけると幸いです」
「いやいや、そのように気を使っていただかなくとも大丈夫ですよ、親愛を込めてフレディとでもお呼びくだされば……。不明なことがあれば何でもお聞きになって下さい」
「そ、それでは私達も名前で構いません。お互い堅苦しいのは抜きにしましょう」

 意気込んで言うリュミエールにフレディはくすりと笑みを漏らす。

()()()可愛らしいお方だ……こんな風にお話しできるなんて得した気分です。おっとっと、他意はないんですよ? レックスには僕がこんなことを言っていたなんて言わないようにおねがいしますね」
(優しそうで、素敵な方……)

 彼は茶目っ気たっぷりに片目をつぶり、リュミエールはつい恥ずかしくなって膝の上に目を逸らした。だが、きちんと聞いておかなければならないことは色々あるので、無理をして顔を上げる。