【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~



 リュミエールたっての頼みで二人の式の牧師役を務めることになったのは、シスター・ロディアである。

 彼女は広場にしつらえられたひな壇の中央で二人を待ち受けると、堂々とした美しい笑顔で、参列者に挨拶を告げた。

「お若く未来のあるお二方の新たな旅立ちにに立ち会えたことを光栄に思います。きっと神様も温かく見守って下さっていることでしょう。それでは恐縮ですが、誓いの言葉を述べさせていただきます……」

 それを聞きながら、リュミエールは徐々に自分の胸の鼓動が早まってゆくのを感じていた。

 参列者からは堂々としたように見えていた彼女だが……本心は実は一杯一杯で、顔に貼りつけた笑みをかろうじて維持しているようなそんな状態。

 隣に佇むレックスとは大きな違いね……などとリュミエールは思うが、よく見ると彼もわずかに耳が赤くなり、鼻筋に力が入っている。

 短い期間でわずかな変化までわかるようになるほど、彼の顔ばかりを追いかけて来たのだと思うと、誇らしいような、恥ずかしいような気がして……赤くなった顔を隠してくれるケイティのベールに感謝をした。