「ケイティ、よくやった。俺に権限があればお前の実家を侯爵家位にはしてやりたいところだな」
「ふふ、お気遣い痛み入りますが、そんな事をされては実家の父が卒倒して、寿命を縮めてしまいますわ。酷く小心者ですから」

 褒めたたえられて鼻高々のケイティだが、ここは謙虚に辞退しておく。

 彼女の父、ホロンド・ラーセル子爵も今日の式には参じている。
 ちなみに先日また見合い話を持ち掛けられたのが、結局彼女はリュミエールとその子供達に生涯を捧げようと決め、すげなく断った。実家の弟はため息をついていたが、家を継ぐことに関しては文句はないようだし、それでいいのだ。

「……ケイティ、今までありがとう、私――」
「そこまでで御嬢様。まだまだ後に最高の瞬間が待っているのですから、ここは我慢でございます……ケイティはいつまでだっておそばにおりますからね!」
「おい、リュミエールと結婚するのは俺だぞ……困った奴らだな。さて、俺はもう行かねば。リュミエール、では式場で」
「はい……」

 レクシオールはそんな一言で二人を軽く笑わせると、背を向けて出てゆく。