――真昼が丘。

 ケイティに聞いた通り……一面に咲き誇るマリーゴールドは太陽に照らされ、輝くような美しさで二人を迎えてくれた。

「レックス、見て下さい! こんなに一杯……」
「はしゃいで転ぶなよ……! まったく」

 駆け寄り、ドレスの裾が地面につくのもかまわず、間近でリュミエールはそれを眺める。爽やかな香りが鼻の奥をくすぐり、自然と頬が緩む。

「ほら、しゃがんでいないで……とっとと先に行くぞ。しかし、これだけあれば油や薬の種に出来るだろうが、誰か使わんのか?」

 だが、ドレスの裾の土を払ってくれながら言ったレックスの実利重視の言葉には、思わず苦笑が浮かんだ。

「そんなことを言わないで下さい。それだけこの場所が多くの人々に愛されているということなのですから……」
「冗談だ……しかし、お前の目と同じ色だから、つい周りぜんぶから見られている気分になって落ち着かないな……」