「もちろんです。レックス、一緒に来てくれますか?」
「当たり前だろう。それが本当の話であれば、大事な祖先だからな。祈る位はさせてもらう」
「おぉ……ありがとうございます。いつかこのような日が来るかもしれないと、私も子供の頃から言い聞かされて育ちましたが……やっと肩の荷が下りた思いだ。この年になって、叶う願いもあるものですな……正直言葉が出ません。先人たちの努力は無駄ではなかった……」
「ハハハ、お前は昔から真面目一徹だったからな。これからは気楽に生きるといい」

 シュミットル老人は目頭を押さえ、それをセルバンが茶化すようにして背中を叩く。

(レックス……二人にしてあげましょうか)
(そうだな……)

 二人はうなずき合うと……指輪を渡してくれたことを感謝し、またここに訪れると約束して、場所を聞いた真昼が丘へと早速出発する。

 その背中を、シュミットルとセルバンは感慨深げにいつまでも見送っていた……。