彼の所在は驚くことに、リュミエール達の目的地である真昼が丘付近の一つの墓地にあったというのだ。どうやら友人がそこを管理しているらしく、妻も身寄りも無い彼はそこへ身を寄せているとのこと。

 微笑むリュミエールを見て、レクシオールは真面目な顔で言う。

「ならいいさ。お前が笑っていないと俺がつまらんのだから、悲しい顔はするなよ? 俺もお前が嬉しくなるよう、何でも好きなことをやってやるから」
「……本当ですか?」
「ああ……何かして欲しいことがあるのか?」
「はい。少しお膝の上に頭を乗せても良いですか?」

 リュミエールの願いにレクシオールは怪訝そうな顔をしたが、素直に膝を叩いた。

「なんだそれは……まあいいが。好きにするといい。ほら」
「はい……」

 小さなリュミエールの頭が膝の上に乗り、絹糸のような髪がさらさらとこぼれそうになったので、レクシオールはまとめてやった。

「お前はまるで人形みたいに小さい頭をしているな……エル」
「そうですか? 撫でてくれませんか……レックスの大きな手、あったかくて私大好きなんです」
「ふん、甘えたがりめ。まだしばらくかかるからゆっくり休め……」

 リュミエールは髪を梳いてくれるレクシオールの手を心地よさそうに受け入れ、彼の方も満更でもない様子で鼻を鳴らす。

 二人きりの時間は穏やかに過ぎてゆき、やがてリュミエールは眠り込んでしまった……。