「……済まなかったな、三人とも」
「本当でございますよ……! 助けが来ると知っていたら先に伝えておいて下さったら……!」

 ぷりぷりと怒るケイティに、レクシオールは苦笑で応える。

「救援が来ることを察知されると面倒だったのだ。お前やエルはあまり腹芸が得意ではないだろう? 大袈裟に怖がってくれたおかげで疑われずに済んだ」
「それは否定できませんが、胃に穴が開きそうになりましたわ……」
「しかしよもや、王太子ともあろう方があのような卑劣な策略をもちいるなど……この国の行く末が心配になってしまいます。リュミエール様、良くよくあの方をお諫めになりましたね……私は、あなたのその御心映えは本当に賞賛すべきだと思いますわ」

 パメラは渋面であのカシウス王太子を糾弾し、身分差を気にせず愛する人の為に動いたリュミエールを褒めたたえたが……当の彼女は弱々しい笑みを浮かべ顔を青くする。

「あの時は何も考えなかったけれど、冷静になってみると私、とんでもない事をしてしまったのね……。牢獄行きになったりしないかしら」
「……気にするな、あの馬鹿王子にはいい薬だ。それに今回は奴の命を救った功績を讃える為に呼ばれたのだから、平手の一発位で罪に問われたりはすまいよ」
「そうでしょうか……。……レックス?」