しかし、後ろの侍女たちがその様子に温か~い視線をくれているのを感じ、二人は慌てて距離を離した。

「っ、おほん……パメラ、ケイティ、よくやった。俺が然るべき身分であれば、爵位の一つも用意してやりたい所だが、女の身ではそれも叶わんか。後で望みを言うがいい、できる限り意に沿えるよう努力する」

 すると二人は顔を見合わせて丁重に礼を返す。

「いいえ、臣下として主君の家族を守るのは当然の務めですわ。お役に立てた事を嬉しく思います」
「お褒めに預かり光栄ですが、リュミエール様をお守りするのは、世話係として当然のことですので……」
「ありがとうね、二人とも……」
「――すまぬな、遅くなった!」

 無事を喜びあうレクシオール達の元に、機を見計らったように進み出たのは騎馬に跨る一人の男性。軍帽を目深にかぶり、隙間から覗くのは黒髪と端正な顔立ちだ。

「肝を冷やしましたよ、ロベルト殿下……とはいえ皆、助けて下さった第二王子に礼を」
「お、王子様自ら!? 感謝いたします……」