「皆様方、出られませ」

 小一時間ほどの移動の後……馬車の扉が開き、四人は外に出された。
 目隠しを外されると、何処かは分からないがおどろおどろしい墓地のような風景が見える。

「ご婦人方はこちらへ」
「な、なぜですか? レックスに何かするつもりなの?」

 男達はリュミエール達の背中を押してレクシオールから強引に引き剥がす。
 そして、馬車へ最初に乗り込んだリーダー格の男の剣が彼に突きつけられた。

 心臓が止まりそうになり、駆け寄ろうとするリュミエール……しかし腕は強くつかまれていて動けない。

「やめて! どうしてそんなことを!?」
「申し訳ありませんが、これも命令でありますので。公爵様にはここで死んでいただく」
「ひねりの無い台詞だな……どいつの差し金だ?」
「それは言っても詮なきことにございます」
「……公爵家の当主を殺害するなど、明るみに出れば一族全て処刑されるだろう……その覚悟があってのことか? 我がハーケンブルグ領も混乱に陥り、その隙に他国が何らかの干渉を行えば、国が揺らぐかもしれんのだぞ。そこまで考えてのことなのだろうな?」