ケイティが車窓から見える景色を指さす。

 まだ冷たい空気の中、遠くに見える黄色いアカシアの花がまん丸の可愛らしい花を風にそよがせていて、リュミエールは元気づけられる思いでそれを眺めた。

「きれいだわ……」
(ほら、公爵閣下、何か気の利いた事を言われませ……! リュミエール様を元気づけるチャンスですよ)
(む……そうか)

 パメラがこそこそと低い声で言い、レクシオールもリュミエールの為ならばと懸命に頭を巡らせ、夢中で外に顔を出していた彼女に声をかける。

「……エル、花も綺麗だが、俺はお前の瞳の方が何倍も美しいと……おい聞け!」
「……は、はい!? 何でございましょう?」

 せっかく恥ずかしい思いを押し殺して言ったのにと――丁度レクシオールが声を荒げかけた時。

 ――ガクガクガクン!

「きゃぁっ!」