「そこまでして……。愚かだな…………だが、こちらからして見れば最大のチャンスだ。もう奴に与するものはおらんな?」
「諸侯らの意思統一は既に済んでおります……陛下もどうやらお気づきではない様子。このまま一気に事をすすめてしまいましょう」
「わかった……。協力者達にも私が直接出向き、結束を固めよう。これが最後だ……奴の計画を挫くには、あの二人の協力も必要となる。カシウスを王太子の座から引きずり下ろし……この国の新しい未来を切り開くぞ!」
「御意……!」

 ルビディルは王に対する臣下の礼を取り(ひざまず)くと、その場を静かに去って行く。

 ようやくその時が来たことを実感したロベルトも、自分の胸に再度覚悟を問いかけるが不安はない。

(大丈夫だ、彼らとなら……きっとこの国を護ってゆける)

 この国に生きる人々の為なら、自分の選択に悔いはない……その思いが気持ちを固め、彼に迷いの無い一歩を踏み出させた。