そして只事でないと察したのか、やがて彼は折れてくれた。

「いいだろう……お前が言うのならば、きっと何かがあるのだと俺は信じるよ。大事な指輪だが、お前に託す」
「ありがとうございます、レックス!!」
「ああ……お前だから特別だぞ」

 彼が自分を信じて無茶を聞いてくれたことが本当に嬉しい。
 勢い良く抱き着くと、レクシオールはそれを苦笑しながら受け入れてくれる。

「ただし、少し時間をくれ。先日の事件の詳細が判明するまで、俺達は自領を離れることを許されん身だからな」
「はい、いつでもいいのです……良かった」

 リュミエールは、決して忘れることのないよう先程頭の中に流れた映像を再度強く思い描く……。

そこにはきっと今まで大切にして来たレグリオとの約束――それにまつわる秘密が隠されているはずだから。