リュミエールは指輪をじっと見つめる。すると、指輪の裏にはところどころ、こすれて消えた刻印が残されているのが分かった。
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『― リエ テ からレ リオへ、永 の愛を めて―』

 何かを訴えかけるように、琥珀(アンバー)が淡く輝き……それを見て、リュミエールの瞳から、ガラス玉のように涙がこぼれた。

(ああ、レグリオはずっとここにいたんだわ……)

 いきなり指輪を抱きしめ嗚咽を漏らすリュミエールに、レクシオールはあわてふためいた。

「どうした、腹でもいたいのか? ほら、さすってやるから……無理するな、部屋に行って休め」
「いいえ、そうではなくて……。ケイティ、教えて欲しいの。フィースバークの屋敷の近くに、綺麗なマリーゴールドが咲き誇るような場所って無かったかしら」
「マリーゴールドでございますか……? マリーゴールド……ああ、ありますよ! 真昼が丘のことでございましょう? 不思議なことに、あの場所では年中夏でもあるかのように、花が枯れることは無いのだという噂で……」
「……レックス、私をそこに連れて行っていただくことはできませんか? この指輪を持って」

 レクシオールは何も言わずに彼女を見据えたが、その真剣な瞳は揺らぐことはない。