「……借金が重なり首が回らなくなっていて、気がふれていたのかも知れんな。あのようなことをしてしまってはおそらく、フィースバーク家の取り潰しも免れんだろう。そも、後を継ぐ嫡男もいなかったようだし、先の事など考えにあまり無かったのかも知れないが」
「リーシア姉様が暫定で家督を継ぎ、その長子が家を継ぐかもしくは……わ、私達に子供が出来たら、ということだったのかもしれません……」
「ふん、俺達に子供ができたとして、あんな男の元にやることは絶対に無かったがな……」

 そんな事をちょっと考えただけで恥ずかしがるリュミエールが可愛らしく、レクシオールはつい頭を撫でる。一瞬気持ちよさそうに目を細めたリュミエールだったが、家族の事が気がかりなのか、また表情はすぐにかげり出す。

「あ、あの……皆はどうなるのですか?」
「わからん……が、お前が気に病むことではないんだ。あの家族はお前を愛さず、物のように扱っていたんだから、相応の報いを受けた……。それだけだ」
「そうでございます! 御嬢様はお優しすぎるんです……私だったらざまぁ~♪とほくそ笑んでいるところですわ! ああ、こんなことになるなら一度位ほっぺたをひっぱたいてやればよかった!」

 レクシオールはリュミエールの肩を抱いて優しく背中を撫で、ケイティはこんな時でも少しでも明るい気持ちになれるようにひょうきんに振る舞ってくれる。

 しかしそんな二人を見ても、気持ちはなかなか割り切れない。