茶会は始まること無く幕を下ろし……。
 王太子を休ませ、容体を回復させた後、レクシオールや王太子達の配下が現場を固め、オルゲナフ始めフィースバーク侯爵一家や料理人は拘束された。

 彼らは王太子もしくはリュミエール侯爵令嬢、ハーケンブルグ公爵の殺害を計画したとして、捕縛されて王都へと送られて行った。

 リュミエールとレクシオールも拘束され事情を聞かれたが――意識を回復した王太子や侍女の発言で概ねの事情が明らかになり、今は解放されて領内に戻り疲れた顔で休んでいるところだ。

「私がいない間にそんなことになっていたんですね……なんて恐ろしいことを侯爵様はなさったのか。御嬢様が無事でよかったです……」

 ケイティは青い顔でリュミエールを後ろから抱きしめた。
 別室で待機していた彼女は騒ぎを後になって知り、解放されるまで二人の事をそれはそれは心配していたのだった。