戻って来たレクシオールと共に、リュミエール達は茶会の用意がされた庭園へと向かう。

 ここも、一応の手入れはされているようだが、人が少ないのか……ところどころ手抜かりがあるのは見るものが見れば一目瞭然だ。

 そんな中、しつらえられたテーブルに先に腰掛けていたのは……カシウス王太子その人だった。

 彼は立ち上がりもせず、慇懃な笑みを浮かべる。

「サンドラが勝手を知っていたのでね。先に落ち着かせてもらっていたよ。フィースバーグ侯爵と何か話していたと聞いたが、どうかしたのかな?」
「個人的な話ですので、内容は控えさせていただければと思います。本日はなにとぞ良しなに」

 臣下の礼を取り、レクシオールが膝を折るのにならい、リュミエールも体を沈めて胸に手を当てた。王太子はそれを満足げに見下ろす。

「ああ。リュミエール嬢も息災で何よりだ。ハーケンブルグ公爵との仲もよろしいようで」
「ありがたきお言葉、痛み入ります」