その青年の音頭により、空気を読んだ貴族達が王太子たちの元へ群がって機嫌を取り始める。

 そうしてすぐに会場は賑やかな様相を取り戻し、この出来事はここで終わりを告げることとなった……。
 
 ……一方リュミエールは、鮮やかにことを収めた公爵の腕の中で揺られながら、未だ悲しみの闇に沈んでいる。

(私、これからどうすればいいの……)

 冷たく濡れた体を抱える公爵の胸の中はただただ暖かく、赤子のようにリュミエールは必死にすがりつきながら、全てを失った苦しみに耐えていた……。