素直な言葉に呻きで返しつつ、そんな苛立ちはどこかに吹っ飛んでしまった……それ程までに今日のリュミエールはレクシオールにとって魅力的だった。

「もうちょっと気の利いた言葉を次は用意しておく。それと……もうこれからは、レックスと呼んでくれ。敬称もいらん、よそよそしい気がするからな」
「……はい! では私もエルと呼んでいただけたら」
「ああ。では行くか……エル」
「はい……レ、レックス」

 二人は初めて互いの愛称をためらいながら口に出す。

(本当に、お似合いの二人です……)
(ええ、臣下として誇らしいわ)

 そうして腕を絡め合い歩き出した二人は本当に幸せそうで……それぞれの主の艶姿に侍女達は、満足感を噛み締めながら背中を見送った。