なんとかひねり出した言葉がこれでは……と、レクシオールは恥ずかしくなり、顔を背けたまま目線だけを彼女へ向ける。

「……ありがとうございます、とても嬉しいです」

 すると彼女は、はにかんだ笑顔でこちらを見つめており、レクシオールはほっとした。

 だが、二人の侍女は肩を震わせており、歪む口元を押さえて懸命に笑いをこらえており、彼の挙動を楽しんでいるのは明白だった。レクシオールの頭に急激に血が上る。

「お前達……俺をからかっているのか?」
「「そんなことはございませんとも!! 公爵様!!」」
(くそ……ぬけぬけと。いい度胸をしているな……)

 ――二人とも、減給処分だ!! 

 本気ではないが、一度ヒヤッとさせてやろうとレクシオールは口を開きかけたが……それも、ケイティに背を押されたリュミエールが傍へ寄って来るまでだった。

「あ、あの、私も今日のレクシオール様は、一段とお美しくて、素敵だと思います……!」
「ぐ……そ、そうか」