レクシオールがリュミエールの部屋を訪れたのは、侍女たちが着付けを丁度終えた頃のことだ……。

パメラが扉を開け、彼は室内に足を踏み入れるとリュミエールの姿を見て、目をしばたたかせる。

「…………」
「あら、公爵様、御嬢様に何かお言葉を頂けないのでしょうか?」

 得意そうに口を笑ませるケイティ。
 レクシオールはそれを忌々しく思いつつも、見惚れていたのを認めざるを得なかった。

 ハーフアップの髪を、薄いブルーの髪留めで止め、レースのドレープをふんだんにあしらった同色のドレスに身を包んだリュミエールは、うっすらと頬を染めながらレクシオールを伺うような仕草でじっと見つめている。

「い、いかがでしょうか、レクシオール様」
「…………そ、そうだな」

 気の利いた言葉が思い浮かばず、レクシオールは視線を横にずらす。
 だが、そこにはいつものあの友はいない。