二人して一転してけらけらくすくすと笑い合い、すっかりと迷いを消した顔でケイティはパメラへと振り向いた。

「さあ、御嬢様のことはケイティが何でも知っておりますから、レクシオール様が目を飛び出す位に美しく着飾って差し上げます! パメラ、やりますよ!」
「だから最初からそう言っているではありませんか、全く……」

 パメラは髪を梳かし始めたケイティにため息を投げつつ、自身もリュミエールの前に回り込み、身支度を整えてゆく。

(……お優しい主に仕えられて幸せだったわね、ケイティ。そしてリュミエール様も彼女の愛を一身に受けながら育ったのだから……主従としてこの二人は理想的な関係だったということかしら)

 パメラはリュミエールのフィースバーク侯爵家での生活が不遇なものだと聞いていたので、少しだけ安心した。

 そして気付く。最初はパメラも公爵様の婚約者として、適性があると思っていただけだったのだが、気が付けばすっかりこの純粋な少女の幸せを願うようになっている。きっとシスターや、城の中の者にもそういった人たちが沢山いるだろう。

(それじゃあ、その代表として、私も頑張らないといけないわね。出来る限りのことをやって見せましょうとも)

 パメラはパメラなりに思いと誇りを込めて、リュミエールの顔に化粧を施す。

 そうして二人の手で、鏡の前の小さな聖女の姿は鮮やかに彩られていった……。