――やっぱり、この少女には報われて、一番幸せになって欲しい。
 その一心でケイティは俯けていた顔をリュミエールに上げると、精一杯の笑顔を向ける。

「申し訳ありませんでした、御嬢様。私はただわがままを言って、少しだけあなたを困らせたかっただけなのです……私だって、僭越ながらあなた様を妹の様に思っていて、こんないつかを夢見ていたんですから。でも、そう言って下さるのであれば……私も少し自分自身のことについて考えてみようと思います……ですから今日は何も気兼ねせずしっかりと楽しんで来て下さいませ」
「ケイティ……」
「ダ、ダメですよ御嬢様! 外出前に目を腫らせでもしたら、公爵様からどんなお叱りが下るか! 笑って、笑って下ひゃい! こうですかっ、こう!」

 リュミエールがじわりと目を潤ませるのを見て、ケイティはあわてて必殺技の変顔を披露した。子供の頃からこうやって彼女が悲しい時には一緒に笑って乗り越えて来たのだ。

「ぷふっ、止めてちょうだいケイティ……」

 たまらず彼女は腹を押さえて吹き出し、目尻を拭った。

「あぁもう、台無しにするんだから。今日のは今までで一等ひどかったわ……」
「それはようございました……」