そして裾を引きずらないように引き上げて寄ってくる彼女をレクシオールは優しく迎え、その髪を……優しく撫でた!?

(いつからそんな女性に対して柔らかい態度を取れるようになったんだよ、君は!)

 僕の驚きを余所に、彼らはこれまでよりも段違いに距離を縮めて話し出す。

「上手くいっているみたいだな」
「ええ、パメラにも褒めてもらいました……」
(おお……なんか凄くいい雰囲気じゃないか……。これは絶対何かあっただろ)

 僕は詳細を聞き出そうと、後ろで同じような表情で眺めている二人に耳打ちしてみる。

(一体何があったの? あの二人ちょっと見ない間に、ずいぶん仲良くなったみたいじゃないか……)
(そうなんですの……この間、お二人で仲良くお散歩されていたのを見かけた人もいるらしいですわ)
(私はたまたま買い物で出ていた次の日に、城壁の上で隣り合う二人が肩を寄せ合って愛を(ささや)き合っていたなんて聞きましたよ……。御嬢様のあんな表情……はぁ)

 ぼそぼそとピアノのそばに集って、訝しそうに見つめる三人の前で、リュミエールとレクシオールは楽しそうに話している。どことなくぎこちなさもあるが、お互いを(おもんばか)っている様子が見て取れて、何と初々しいことだろう……。