「――よし! リュミエールの所へ行くぞ」
(……おや~?)

 久しぶりにレクシオールの屋敷を訪れ雑用を手伝っていた僕は、彼のその変化に少し戸惑う。朝早くから精力的に仕事をこなす彼を見て、何かあるのかと思ったが、もしかして……?

 書類を机の上でリズムよく整え、席を立つ彼に僕は話しかけた。

「どうしたのさ、急に乗り気になって」
「会いに行くのは普通だろう。俺の婚約者なのだからな」
(俺の、ときましたが……ほー?)

 僕は随分積極的な彼の背中に生暖かい視線を送りながら、その後を追う。

 例によってリュミエールは一生懸命にケイティやパメラとダンスの練習をしている。
 だが、彼が来ると……。

「レ、レクシオール様!」
(僕は……?)

 パッと表情を明るくし、駆け寄って来る……どうやら僕は眼中に入らずといった感じだ。