「わ、わっ……」
「父上、母上、俺を生み育ててくれて……大切な時間をくれて、ありがとう。それじゃ、また……」

 それだけ言うと、彼は踵を返しリュミエールを連れて城へ戻ってゆく。
 肩越しに覗いた墓の前では、小公爵が見送る様に佇んでいて、彼は最後に一つだけ鳴いた。

(……息子をよろしく)

 ……そう聞こえたような気がしてリュミエールが頷くと、小公爵は姿を消し……また涙ぐみそうになって彼女は公爵の胸に顔を埋めた。